パーソルイノベーション株式会社が提供する外部人材管理・活用システム「エクスチーム」は2019年11月28日、外部プロ人材活用の秘訣を探るイベント「事業に“外部のプロの人材”を!売上拡大にコミットする新しい人材活用」を開催しました。
■開催の背景
企業の人材不足課題を解決する在り方として、「外部人材の活用」への注目が集まっているものの、企業が外部人材を活用するシーンは、ノンコア業務が中心。活躍の場が限定的であることが多く見受けられます。
一方で、フリーランス・副業という働き方を選択する優秀な人材は増え続けており、企業が外部プロ人材をどう活用できるかが、生産性向上のカギとなっているのではないでしょうか。?
今回のセミナーでは、多数の企業に外部人材活用を支援しているCARRY ME代表 大澤亮氏と、シューマツワーカー CEO 松村幸弥氏に登壇いただき、どうすれば、外部プロ人材を有効的に活用できるのか、その秘訣についてたっぷりお話いただきました。質疑応答も含め、その一部をご紹介します。
?■第一部 大澤 亮 氏「外部プロ人材活用の秘訣」
CARRY ME 代表取締役 大澤 亮 氏
1996年に新卒で三菱商事株式会社に入社、タンザニア駐在経験(ODA担当)を経て、帰国。同社退職後、1999年に慶應義塾大学大学院(経営管理研究科修士課程)に入学と同時に起業、2度売却。その後、株式会社ドリームインキュベータに入社し、大手企業とベンチャー企業両方の経営コンサルティング、ベンチャー企業投資も担当。同社退職後、土屋鞄製造所に取締役兼C.O.O.として入社し、2年で売上、経常利益も2倍以上にして退職。
2009年 株式会社Piece to Peaceを創業2016年には、週2、3回で業務委託契約で働くプロ人材と、人手不足の企業の仲介サービス「CARRY ME」を立ち上げ2019年7月にはパーソルグループなどから1.1億円の資金調達を実施。アカデミーヒルズ(六本木)等での講演多数。?
<講演内容(抜粋)>?
プロ人材の定義とは?
?私は2016年に「CARRY ME」 を立ち上げ、マーケッターを中心としたプロ人材のシェアリングサービスを展開しています。この「プロ人材」とは、フリーランスや起業家の方々で、Webマーケティング、広報・PR、エンジニア、法人営業、Webデザイナーなどのスペシャリストです。
プロ人材をより具体的に定義づけると、「出社とリモートを組み合わせ、本業として成果にコミットして働ける個人事業主等」ということになります。週2~3で本業として働き、成果にコミットして働けるというのがプロ人材ですので、日中の出社も可能です。また、顧問などではなく、あくまで実務遂行が得意な方が中心です。
現在登録している個人は約5,700名で、
・フリーランスなどの個人事業主
・子育て中のキャリアウーマン
・起業家
といった方々が中心です。
デジタルマーケティングの分野では、プロ活用が合理的
?プロ人材を特に活用されているのが、デジタルマーケティングの分野。背景には、多くの企業でCMOなど統括できるレベルの人材がおらず、“なかなか事業が進まない”といった悩みがあることが挙げられます。
?さらに、施策も多様化していることから、すべてに精通している人材を正社員として探すのはとても困難。こういった場合に「SEOのプロと、広告運用の中でもリスティング広告のプロ」など、ピンポイントでプロ人材に力を借りる。そんな活用の仕方が非常に合理的と言えます。?
それでは、事例をいくつかご紹介しましょう。?
ケース1.外部プロ人材が社員育成も担う「師弟採用」
?私が過去参画した企業で活用していたのが、外部のプロ人材です。未経験の若手を組み合わせて採用することで、プロに未経験の若手を育成してもらっていたんですね。
具体的には、メルマガやカタログ、オウンドメディアなどの強みであるクリエイティブはすべて正社員が担う一方で、マーケティングのロジック部分に関しては、マーケティングを教えられるレベルのプロと、広告運用のプロを投入し、クリエイティブチームや正社員に教えていました。
また、モノづくりに関しても、プロダクトデザイナーを業務委託で採用し、高いレベルの実務だけでなく若手の育成も担ってもらっていました。
外部のプロ人材の活用シーンをまとめると
・正社員では担当できないような、高いレベルを求める業務(商品デザイナーやマーケティングなど)
・定型業務で、比較的高度な業務(広告運用など)
の2パターンに分類されていました。
ケース2.新規事業でプロを活用
続いては、企業向け比較サイト『Boxil』を展開するスマートキャンプ株式会社様の事例です。
スマートキャンプ様では、新規メディアの立ち上げに際し、社内のリソース不足に加え、優秀な正社員の採用には時間もコストもかかるというお悩みをお持ちでした。
そこで採用したプロが、元・SEOコンサルで、Webメディア運営の経験もある20代の女性です。
この事例では、すぐに結果を出したことに加え、この女性がスマートキャンプ様の社風が気に入り、社員との相性も良かったことから、「週3正社員」として入社することとなりました。
ケース3.ステージごとの課題にプロをアサイン
最後は弊社の事例です。「CARRY ME」は創業当時、業務委託が20人。マーケティングチームは、全員業務委託でした。
この体制においては、ステージごとにマーケティング上の重要な施策を選び、その施策に対して責任をもって成果にあたることのできるプロをアサインしていきました。具体的には2017年にSEOのプロを業務委託CMOという形で採用、続いて2018年にオウンドメディア、Webデザイン、Twitterのプロを活用。
広告という手法を使わずに登録者を5,700人にまで増やしていきました。
“完全放置”でも、“完全拘束”でもNG
プロに成果を出していただく秘訣としては、スキルは最も大事ですが、成果にコミットでき、自分から提案できる、自律的の人材を選ぶことが第一です。また、発注する側も、適切に業務を切り分け、適度に難易度の高い課題を設定し、モチベーションが下がらないように工夫することも重要。さらには、外の人として扱うのではなく、同じ会社のメンバーとして組織図に組み入れると、一体感が生まれ、良い成果につながります。飲み会にも誘うといいと思います。
一方で、「全く管理しないから、成果出してよ」といった“完全放置型”の企業や、「ちゃんと働いているかどうか信頼できないから、完全に時間と場所を拘束します」といった“完全拘束型”の企業は、プロ活用が難しいかなと思います。
■第二部 松村 幸弥 氏 「企業が “副業” 人材活用を始める理由」
株式会社シューマツワーカー 代表取締役 松村 幸弥 氏
2012年に株式会社ボルテージに新卒で入社しソーシャルゲームのプロデューサーとして勤務。その後、 2016年に株式会社シューマツワーカーを設立し、副業したい人と企業をマッチングするプラットフォームサービス『シューマツワーカー』を立ち上げる。登録者は、サービス開始約2年半で15,000人に達し、スタートアップから上場企業まで300社以上の企業が利用している。
?
<講演内容(抜粋)>
副業の流れは止められない
「シューマツワーカー」の松村と申します。
弊社では、副業したい人と企業をマッチングするサービスを提供しています。企業がエンジニア、デザイナー、マーケッター、人事・広報など優秀な人材に月40時間~50時間程度リモートで業務を依頼できるというものです。現在、15,000人以上の登録者がおり、これまで350社以上、800案件以上に副業人材をマッチングしています。
ここ2~3年で、日本人の働き方が大きく変化してきました。フリーランスや副業にかかわらず、リモートワークやクラウドソーシング、そして最近だと“週4の正社員”といったワードも出てきており、5年前だとなかなか考えられなかった働き方が一気に浸透してきています。
中でも“副業”は、とても注目されていると思います。
なぜこんなに広まったかと言いますと、厚生労働省が2018年1月に「モデル就業規則」の改定案を公表したことがきっかけです。これまでモデル就業規則では副業は「原則禁止」でしたが、「原則容認」に変わったんですね。それから大手の企業がどんどん“副業解禁”をしていき、メディアにも取り上げられたという現象が昨年起こってきました。
そして、今年もこの流れは続いています。
一方で、“副業したことがある”方もどんどん増えてきています。
日本では700万人以上が副業したことがあるというデータも出ていますし、「副業関連サービス」もどんどん増えていっています。終身雇用制度が終焉を迎えはじめた中、これからは会社に頼るのでなく、個々人が自身のスキルを頼って生きていく時代が来るのではないか、そして副業もフリーランスも日本でもっと当たり前になっていくのではないかと思っています。?
副業市場では、人材が“余っている”状況
?一方で、採用市場にも変化が訪れています。日本では人手不足が深刻化しており、特にIT人材に限ると、有効求人倍率は6倍超、エンジニアだと10倍といったデータもあるくらいです。さらに採用チャネル・手法もどんどん新しく多様化していくため、専門性やスキルの高い優秀な人材を正社員として採用していくのはすごく困難です。
しかし、副業であれば、転職市場に出てこないような優秀なエンジニアやデザイナーがすぐに見つかります。なぜなら、働き方の多様化に伴い副業人材市場では人手が増加し、需要と供給バランスが転職市場と完全に逆転しているからです。大手企業に勤めながら「副業したい」方が多く余っている状態。したがって、需給バランス的にも単価が交渉しやすい状況が生まれており、正社員で採用しようと思うと年収が高い方でも、副業で採用する場合はそこまで高くなかったりするケースもあります。
そのような優秀な方が多く集まっているにもかかわらず、企業における副業人材の活用がそこまで浸透していない理由は、企業に実績とノウハウがないことが大きいです。依頼する業務内容や、コミュニケーション、契約に不安があり、なかなか活用に踏み込めないのです。
ただそれは逆説的に考えると、今から副業人材活用を始めれば、競合企業より先に優秀なリソースを確保できるということだと思っています。
?副業人材ならではの「要件定義」とは?
副業人材には正社員の採用とは違った、独特の要件定義があります。たとえば「準委任契約」なのか、それとも「請負契約」なのかや、稼働する時間帯、どの程度の時間稼働できる人を求めるのか等、企業側があらかじめ設定する必要があります。
他にも、企業サイドの人が残業できないことから「平日のお昼にどうしてもミーティングがしたい」といった要望もあると思います。副業人材だと難しいと思われるかもしれませんが、最近は大手に勤務している方でも、フレックス制度などを利用して平日昼や夕方にもミーティングできる人はいるんですね。
副業に向いている案件
?業務内容においても、副業に向いている業務とそうでないものがあります。どういう業務が得意かというと「重要度は高いけれど、緊急度はそんなに高くなく、社内で手が回っていない」案件です。たとえば、社内システムの管理画面の機能追加・改修。中期的には売上に直結することではありますが、後回しになってしまいがちなので、そういった部分を副業人材に任せてる企業さんも少なくありません。
さらには、「業務を細かい時間軸で切り出しやすい」「必ずしも平日昼の時間帯に作業する必要性がない」「成果物が明確である」「社内にない知見が必要である」といった案件も副業人材は得意とします。そうすると、マーケッター/デザイナー/エンジニア/人事/広報などが副業に向いている職種になるかと思います。
「シューマツワーカー」では、そういった職種の優秀な人材がたくさん登録しているだけではなく、副業を活用できる業務の切り出しや要件定義、業務体制づくり、稼働時間の管理まで一気通貫でサポートしています。また副業人材のモチベーション変化を定量・定性両面チェックし、継続的に活用できる仕組みも整えています。
■第三部 パネルディスカッション&質疑応答(抜粋)
最後に質疑応答が行われ、参加者からは多くの質問や意見が飛び交いました。
たとえば、「優秀な人材を社員として採用したい。どうやったら副業やフリーランスから社員に転職してもらえますか?」という質問には、松村氏が「転職意向があるかどうかはまず確認したほうがいいと思います。その上で、採用したい人とは1on1や飲み会などでウエットな関係性を築くことが大事ですね。」と回答。
一方、大澤氏も、「プロ人材の中でも、子育て中の女性は、いつかフルタイムで働きたいという意向をお持ちの方も多いです。そういう方を採用してみるとともに、正社員で迎えたい場合は『週4正社員でもいいよ』『時短でもいい』など柔軟に対応してあげると、スキルの高い人でも採用しやすいと思います。」と具体的にアドバイスしてくださいました。
●エクスチームについて https://www.exteam.jp/
昨今、働き方の多様化やキャリア自律志向の高まりなどにより、副業を含むフリーランス人口は増加傾向にあり、一方で労働力不足による採用難という課題を抱えている企業は多く、プロジェクト単位で業務発注ができるフリーランスへの注目が集まっています。しかし、フリーランス活用においては、業務発注や契約管理にかかる工数や、同一企業内でのフリーランス人材の資産化のハードルの高さなどから、日本では欧米などの諸外国と比較して企業におけるフリーランス活用は十分に進んでいないのが現状です。
このような状況を受け、パーソルグループの新規事業として2019年5月よりサービス開始した「エクスチーム」は、企業におけるフリーランス(業務委託)人材の活動開始から請求管理までの一元管理化を実現する法人向け外部人材管理・活用システムです。フリーランスのリスト化から、業務発注、プロジェクト管理、請求管理、評価を一元管理することで外部人材の資産化を可能にし、企業に対しては「適切な人材リソースを雇用形態に捉われず活用できる世界」を、個人に対しては「一人ひとりが多様な働き方が選択できる世界」を創る、というビジョンのもと、企業の外部人材の活用拡大をお手伝いしています。
本件に関するお問い合わせ
パーソルイノベーション株式会社
エクスチーム 営業担当 お問い合わせ